『そーちゃん』


『いいの
 今まで充分 私 幸せだった』



今まで見た、どれよりも綺麗で穏やかな笑顔で俺を呼んで
子供の頃のようにやさしく髪を撫でて
そっと囁いてくれた言葉


姉上

貴女が最期に伝えてくれた言葉を、疑っていたわけではないのです
ただ、どうしても俺には分からなかった

貴女はどうして幸せだったのだろうかと




 其れは笑みに溶けて




「総悟、どうした?」
「ひじかた、さん」


いくら考えてもかんがえても、どうしてなのか分からなかったのに
今になって


「苦しいのか?」
「…いえ」
「起きなくて良いから、大人しく寝てろ」


それとも今だからか

姉上
俺にも貴女が其の言葉に込めてくれた想いが、こころが本当に分かった気がするんです
そしてあの言葉は、紛れもなく
偽りない本当のものだったと、素直に思うことが出来ました

きっと 

「ねえ、土方さん」
「…あんま喋んな、熱が上がる」
「知ってやしたか?」


もうすぐ
俺も だから

俺は馬鹿だから、きっと貴女のように上手くは伝えられないでしょうけど
ならせめて


「総悟?」

姉上、貴女のように


「俺って、しあわせ だったんでさぁ」




その瞬間は、微笑んで




2006.9.16





最期の最期に総悟はトシに対して素直になってもいいと思う。
そんなイメージ(病ネタばっかでどうも)
元気なら一生素直じゃなくていい、そのくらいのがいい。
SSというよりメモの域を出てませんが、ご容赦下さい(自覚アリ)